東京ひとり時間

無趣味だったアラ50主婦。「ひとり時間」を楽しんでいる内に充実した日々を送れるようになってきました。そんな日々の記録です。

●ひとり時間にアート●三菱一号館美術館(丸の内/二重橋前):展覧会「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」

●今回のお散歩(東京・丸の内)●
丸の内初のオフィスビル三菱一号館』の長期休館前に館内の美術館、カフェ、建物を中心にお散歩をしました。

1.【ランチ】ブラッスリーオザミ 丸の内

2.【美術館】三菱一号館美術館《本ページ》

3.【お散歩】三菱一号館

4.【カフェ】Cafe 1894

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

 

東京・丸の内にある

三菱一号館美術館

行ってきました。

 

こちらの建物は

日本近代建築の父」と呼ばれる

ジョサイア・コンドル

1894年に設計した建物を復元したもので、

建築に興味を持ってからは

もっと見てみたいなと思っていました。

 

しかし、本展覧会終了後の

今年4月10日~2024年秋頃まで

修繕のために長期休館となり

囲いもされて、

しばらく見られなくなるそうなので、

今回、慌てて訪れた次第です。

 


三菱一号館美術館

 

展覧会

芳幾・芳年国芳門下の2大ライバル」

(2023年2月25日~2023年4月9日まで)

 

mitsubishi-ichigokan-museum-yoshiiku-and-yoshitoshi

三菱一号館美術館(丸の内):展覧会「芳幾・芳年国芳門下の2大ライバル」》©nico

 

展覧会は幕末を代表する浮世絵師

歌川国芳(1797-1861)の門下で

ライバルとして人気を二分した

落合芳幾(1833-1904)と

月岡芳年(1839-1892)の

作品を主に展示しています。

 

師匠の国芳

最も得意だった武者絵で

デビューしていますが、

後に役者絵、美人画、戯画、風俗画など、

幅広いジャンルの作品を手掛けました。

 

また、親分気質で面倒見がよかったため、

歌川派の中でも門人が多いことで

知られていました。

 

その中で頭角を現したのが、

芳幾・芳年です。

 

幕末から明治の激動の時代、

写真などの新技術や

新聞などのメディアが生まれ、

浮世絵は衰退していきました。

 

二人は最後の浮世絵師

言われる世代です。

 

兄弟弟子として切磋琢磨していた

芳幾・芳年ですが、

生き延びるための闘いを強いられ、

対照的な生き方で

新しい時代に順応していくことが

見えてくる展覧会でした。

 


【二人が共作した初期の代表作「英名二十八衆句」】

yoshiiku-ukiyoe

《芳幾:英名二十八衆句 鳥井又助、1867年(慶応3)》

yoshitoshi-ukiyoe

芳年:英名二十八衆句 御所五郎蔵、1867年(慶応3)》

※上の2枚の絵は「パブリックドメインR」よりお借りしてきました。

 

上の2枚の絵は芳幾・芳年

1866-67年に14枚ずつ分担して共作した

英名二十八衆句」という

初期の代表作である

血みどろ絵です。

 

歌舞伎や講談などから

残酷シーンを集めており、

幕末の不穏な世相を

反映しているそうです。

 

二人は師匠から

器用だけど覇気のない芳幾と、

覇気はあるけど不器用な芳年

と評価されていたそうです。

 

最初、素人目には二人の差は

わからなかったのですが、

段々見ていく内に

芳年の動きが伝わってくるような

迫力ある表現に魅了されていきました。

 

上の2枚目の絵

「英名二十八衆句 御所五郎蔵」では、

今にも動きだしそうに見えます。

 


【明治以降の二人】

yoshiiku-sashie

《芳幾:東京日日新聞 開版予告、1874年(明治7)》©nico

 

明治に入ると、

正統派と言われる

芳幾東京日日新聞毎日新聞の前身)

の創刊に参画し、

新聞錦絵や挿絵といった

文明開化に則した新しいジャンルに

活路を見出します。

 

yoshiiku-sashie

《芳幾:東京日日新聞 千三十六号、1875年(明治8)》©nico

芳幾の東京日日新聞の挿絵の中で

面白いエピソードも見つけました。

 

上の挿絵は

長野に住む79歳の老父が

67歳の老女と恋仲になって、

老父の69歳の妻が怒ったために

二人は逃げ出したけど、

途中で67歳の老母が卒中で

倒れてしまうという、

本当に?!と聞きたくなる珍説(笑)

 

yoshitoshi-hanga

芳年藤原保昌月下弄笛図、1883年(明治16)》©nico

革新性と言われる

芳年は師の武者絵を継承しますが、

作画を突き詰め続け、

更に菊池容斎の歴史人物画や

西洋画に学んで、

新しい浮世絵のスタイルを開拓しました

 

上の絵は笛の名手・藤原保昌

月夜に笛を奏でながら歩く様子に

盗賊が付け狙うが、

一分の隙も見せない保昌に

襲うことができなかったという話です。

 

肉筆画の作品を木版画

したものだそうで

芳年の中でも屈指の作品

言われています。

 

写真アングルのような視点が

これまでの浮世絵には

見られなかったそうです。

 

芳年の作品はの迫力を感じるものが

多かったですが、

この作品からはピンと張りつめたような

緊張感と静寂、

の迫力が伝わってきます。

 


【「警視庁草子」とのコラボ】

mitsubishi-ichigokan-museum-yoshiiku-and-yoshitoshi

三菱一号館美術館(丸の内):漫画「警視庁草子」と展覧会のコラボ》©nico

mitsubishi-ichigokan-museum-yoshiiku-and-yoshitoshi

三菱一号館美術館(丸の内):漫画「警視庁草子」と展覧会のコラボ》©nico

 

山田風太郎著の

明治期を舞台にした小説

警視庁草子」が、

東直輝の作画でモーニング誌に

連載されているようです。

 

今回は展覧会とコラボしていて、

芳幾・芳年も登場する

オリジナルストーリーが

作られていました。

 

おまけで載せておきます。

 


さいごに

 

ジョサイア・コンドル設計の

三菱一号館美術館が見たくて

訪れましたが、

ちょうどコンドルも来日していた

明治初期の激動の時代に

二人の浮世絵師が翻弄されながらも、

必死に前に進もうとする姿を

感じることができました。

 

最近は江戸・明治時代が気になって

仕方がないのですが、

未開の地から時間と労力をかけて

作り上げた江戸から、

一気に文明開化の幕が開く明治時代は

さぞかし変化が多かっただろうと思います。

 

知れば知るほど

乗り越えた先人たちへの

尊敬の念が深まります。

 

何でも揃っていて便利な

大都会・東京

当たり前に今日の姿があるわけではなくて、

多くの人たちが一つずつ積み上げてきた

結果なのだと、

つくづく感じるようになりました。

 

こうして東京で

歴史や文化に触れる時間を持てて

ありがたいなと思います。

 

展覧会は4月9日まで

 


●Information●

三菱一号館美術館

●電話 050-5541-8600
●住所 東京都千代田区丸の内2-6-2
●交通 JR「東京駅」丸の内南口 徒歩5分
JR「有楽町駅」国際フォーラム口 徒歩6分
※上記以外にもメトロや都営、バスなどアクセス方法が多数あります。
●開館時間 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
●休館日

毎週月曜
(祝日・振替休日・展覧会会期中最終週の場合は開館)
年末、元旦、展示替え期間
※臨時の開館・休館の場合あり

●予約 なし
●入館料 展覧会により異なる
●開館時間や休館日などは変更となる場合がありますので、詳細は施設にご確認ください。

 

★クリックしていただけたら嬉しいです★

Copyright 2022 nico All rights reserved.