東京ひとり時間

無趣味だったアラ50主婦。「ひとり時間」を楽しんでいる内に充実した日々を送れるようになってきました。そんな日々の記録です。

【読書記録】『天平大仏記』澤田ふじ子著

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

 

奈良時代の小説、

澤田ふじ子

天平大仏記』を読了。

 

743年(天平15)、

聖武天皇

金堂廬舎那仏造顕(大仏様建立)の詔を

発せられました。

 

本書は太秦広隆寺の前身である

蜂岡寺の造仏工、

天国(あまくに)が主人公です。

 

天国は山背国秦氏の奴婢でした。

 

造仏工としての才能を認められていた

天国でしたが、

奴婢だったために

金堂廬舎那仏造顕には参加できません。

 

年を重ねるごとに

様々なことを諦めてきた天国。

 

しかし、

ここで思いがけないことが起きます。

 

天国を含む奴婢たちが

今回の大仏建立に関わることになり、

さらに奴婢から良民へ

放賤されるというのです。

 

この放賤は大仏建立のための

労働力と技術の確保であり、

手技を持つ奴婢への優遇政策でした。

 

しかし、

大仏建立の裏には藤原仲麻呂橘諸兄

熾烈な政争陰謀の大きな渦が…

 

天国たちもその渦に巻き込まれ、

次々と過酷な試練が襲い掛かりますが、

放賤という夢のような希望の光を頼りにして、

どうにか前に進みます。

 

本書で描かれた時代は

ちょうど聖武天皇の御世が

混乱していた時期と重なります。

 

元々近江の紫香楽宮

建立されるはずだった大仏が

紆余曲折あって

奈良に建立されることになりますが、

その紆余曲折にあたる部分が

描かれています。

 

ちなみに本書に登場する

宰領・国君麻呂、大鋳師・高市真国、

鋳師・柿本男玉、高市真麿、

大工・猪名部百世、小工・益田縄手は

実在の人物で

東大寺二月堂修二会

東大寺造営に功があった者として

過去帳」によって披露されているそうです。

 

奈良時代の小説を読んでいると、

必ずと言っていいほど取り上げられる

大仏建立」ですが、

身分制度に触れて

奴婢の視点で描かれた作品を

読むのは初めてでした。

 

繊細なテーマだし、

過酷な場面もありましたが、

最後までどうなるのか気になって

読み進めました。

 

そして、結末には衝撃を受け、

しばらく感情の昂りが

抑えられませんでした。

 

似たようなことが事実として

あったかどうかを少し調べてみましたが、

結局わからずじまい。

 

この先も気に留めておきたいと思います。

 

最後までお読みいただき、

ありがとうございました!

 

 

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