東京ひとり時間

無趣味だったアラ50主婦。「ひとり時間」を楽しんでいる内に充実した日々を送れるようになってきました。そんな日々の記録です。

【読書記録】『ふりさけ見れば』安部龍太郎著

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

 

しばらく歴史小説にハマっています。

 

なるべく時代の古い順から読み進めて、

ようやく最近になって

奈良時代初期の作品に

突入しています。

 

今回手に取ったのは、

安部龍太郎

ふりさけ見れば』。

 

安部氏の

古代史四部作」の一つ。

※古代史四部作はこちら

 

先日読んだ

平城京』に続く作品で、

国家に貢献するべくで奮闘する

遣唐使について描かれています。

 

主人公は阿倍仲麻呂

 

白村江の戦いで水軍を率いた

阿部比羅夫の孫で

平城京造営司を担った

阿部宿奈麻呂の息子です。

 

717年、

仲麻呂吉備真備井真成らと共に

留学生として第9次遣唐使に同行。

 

唐で競争率が非常に高い

官僚登用試験である科挙を受験し、

その中でも最難関と言われる

進士科に合格。

 

玄宗皇帝の側近にまで出世した

たぐいまれなる日本人と言われています。

 

天の原ふりさけ見れば春日なる

三笠の山に出でし月かも

 

百人一首古今和歌集

収録されているこの有名な和歌は

仲麻呂が詠んだものです。

 

752年、

第11次遣唐使とともに

仲麻呂が日本に帰ることになり、

そこで詠んだ歌だと言われており、

「中国で見る月は、ふるさとの月と同じだ」

喜びを表現しているそうです。

 

しかし、

仲麻呂の乗った船は難破して漂流し、

最終的に唐に戻ってしまいます。

 

結局故郷に帰ることは叶わず

唐で骨を埋める人生を送りました。

 

本書では第10次遣唐使とともに

帰国するはずのところを見送り、

その理由として日本の朝廷から

密命を受けたためだという設定で

展開されていきます。

 

唐に残った仲麻呂

用間(スパイ)として

生きていくことになります。

 

仲麻呂はどんな密命を受けたのか?

 

(以下ネタバレあります!↓↓↓)

 

白村江の戦い

唐・新羅連合軍に大敗した日本は

唐との関係正常化を目指して

702年に40年ぶりに

粟田真人率いる遣唐使を送ります。

 

そこで交渉開始の前提として

唐が日本に示した条件がありました。

 

その内の一つが

国史を明らかにし、

天皇の由緒の正しさを示す

ということでした。

 

そして、

古事記」が編纂され、

717年の第9次遣唐使に託されます。

 

しかし、

唐の史書の概念から外れているとされ、

認められません。

 

当時は唐の史書との

整合性が取れていないと

正史とは認められませんでした。

 

しかも、

根拠となる唐の史書

機密とされており

見ることができません。

 

仲麻呂が一緒に帰国するはずだった

第10次遣唐使では新たに編纂された

日本書紀」が提示されますが、

これも唐の史書と一致しないとされ、

審査が通りませんでした。

 

そこで、

仲麻呂

唐の史書には日本について

どう書かれているのか」を探るように

密命が下ります。

 

機密とされる史書を確認するためには、

秘書省の秘府(秘庫)まで

入り込まなければなりませんでしたが、

そのためには

秘書監の許可が必要でした。

 

そのため、

仲麻呂は用間だと悟られないようにしながら、

秘書監を目指して出世をしていきます。

 

その中で家族との別れや

懇意にしていた人への裏切りなど、

仲麻呂が心を殺して

並みならぬ苦労をしている様子が

描かれています。

 

玄宗皇帝と楊貴妃や唐の高官たち、

李白や王維などの詩人との交流なども

描かれており、

仲麻呂の壮大なスケールの人生を

伺うことができます。

 

また、

仲麻呂と同じ遣唐留学生だった

吉備真備を中心とした

大和朝廷の政治や

鑑真和上の招聘なども

取り上げられており、

とても読み応えのある作品でした。

 

最後までお読みいただき、

ありがとうございました!

 

 

 

安部龍太郎氏の古代史四部作●

(↓ 時代順)

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