東京ひとり時間

無趣味だったアラ50主婦。「ひとり時間」を楽しんでいる内に充実した日々を送れるようになってきました。そんな日々の記録です。

【読書記録】『青雲の大和』八木荘司著

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

 

八木荘司著、

青雲の大和』読了。

 

こちらは八木氏の

東アジアの中の古代日本をテーマとした

三部作の一つです。

※東アジアの中の古代日本三部作はこちら

 

本作は

乙巳の変

大化の改新

主な内容として描かれ、

東アジア情勢は

百済の滅亡や白村江の戦いにつながっていく

前段階の様子が描かれています。

 

645年6月、

中大兄皇子中臣鎌足らによって

蘇我入鹿が暗殺されるクーデター、

乙巳の変(いっしのへん)

が実行されました。

 

その翌日に

入鹿の父・蘇我蝦夷も自害し、

当時権勢を振るっていた

蘇我氏専制が終わります。

 

これにより、

豪族がそれぞれに

土地や人民を支配する体制から

国家が直接統治するべく

天皇中心の中央集権を目指し、

新しい国づくり

大化の改新」が始まります。

 

この620~640年代は

隋や唐で政治制度を学んだ留学生が

相次いで帰国する時期でもありました。

 

そのような中で

1作目の『遥かなる大和』で

遣唐留学生だった

高向玄理(たかむこのくろまろ)と日文が

国家の最高顧問であり、

改新の立案と指導にあたる重職、

国博士に就任します。

 

===↓以下ネタバレあり↓===

 

同じく遣唐留学生だった

南淵請安(みなみぶちのしょうあん)は

国博士への就任を辞退。

 

自分のやり方で国を救いたいと、

唐へ渡ります。

 

この頃、

唐は高句麗へ侵攻するために

開戦準備を進めていました。

 

646年、

その請安よってもたらされた情報により、

玄理がはじめて三韓外交に関わります。

 

新羅で王位を転覆し、

唐から新王を迎える策謀が

進められているとの情報でした。

 

これが実現すれば、

唐が新羅を支配し、

百済高句麗が滅ぼされて、

唐の脅威が大和に迫ることになります。

 

玄理は新羅に渡り、

その手腕によって逆臣の反乱を鎮定し、

新羅の危機を救います。

 

しかし、

それで終わったわけではなく、

これが三韓外交の始まりとなりました。

 

改新が進められる中、

唐との外交方針も変わってきます。

 

唐の野望を警戒してけん制するだけでなく、

平和的に友好関係を築こうとするものです。

 

諸改革が遅延し、

国防のための軍制が整っていないことも

理由の一つでした。

 

玄理は最後の任務として

大使の上の位である

押使(おうし)となり、

唐に赴きます。

 

帰化人であり大和と唐の

二つの祖国を持つ玄理。

 

唐と大和を永遠の明邦として

結び付けたい一心で、

唐の半島への侵攻を止めるべく、

命がけで働きかけます。

 

しかし、

時代の大きなうねりは

食い止めることができず、

玄理は唐で命が尽き、

唐の高句麗侵攻が始まります。

 

そして、

それはやがて白村江の戦いにつながっていく

ストーリーが描かれた3部作の最終話

大和燃ゆ』に続きます。

 

教科書では数行で説明が終わる

乙巳の変もそこに至るまでの経緯や

鎌足と入鹿の関係性なども描かれていて、

とても面白かったです。

 

また、

乙巳の変蘇我家でありながら、

中大兄側についた蘇我倉山田麻呂は

右大臣の座を追い落とそうとする

蘇我日向武蔵の讒言により、

濡れ衣を着せられて自害します。

 

その山田麻呂が本作の中で、

三韓への方針について

新羅を追い詰めるべきではない。

唐を頼らざるを得なくなる。」

という主旨のことを述べています。

 

新羅から賄賂を受け取ったり、

悪役として書かれる蘇我氏について、

最新の歴史研究の中で

見直し論が出てきているそうですが、

上記の山田麻呂の記述も

国際情勢に明るかった

蘇我氏の外交方針を示しているようで

興味深かったです。

 

飛鳥時代

政治に大きな変化をもたらした

乙巳の変大化の改新について

関心がある方におすすめの作品です。

 

最後までお読みいただき、

ありがとうございました!

 

 
●東アジアの中の古代日本三部作●

(↓ 時代順)

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