東京ひとり時間

無趣味だったアラ50主婦。「ひとり時間」を楽しんでいる内に充実した日々を送れるようになってきました。そんな日々の記録です。

●ひとり時間に読書●『東京、はじまる』門井慶喜著

こんばんは!

都内在住アラフィフ主婦のnicoです。

ひとり時間を楽しんでいます。

 

以前、日本橋で道に迷って、

偶然目にした日本銀行本店が

きっかけで知った、

建築家・辰野金吾

 

門井慶喜著、

東京、はじまる』は

明治時代に日本銀行本店や東京駅など、

日本人として初の国家的建築

手掛けた辰野金吾について

描かれた作品です。

 

以前に辰野金吾について調べた時には、

東京大学工学部の前身である

工部大学校を首席で卒業し、

海外留学の権利を得て、

帰国後はお雇い外国人として

イギリスから来日した

恩師のジョサイア・コンドルの後任として、

工部大学校の教授になり、

近代日本の建築界をけん引した人』

ということを知りました。

 

なので、

とんでもなく秀才でスマートな紳士、

どちらかというと森鴎外のような

イメージを勝手に持っていました。

 

しかし、今回、

東京、はじまる』を読んで、

笑っちゃうくらい、

このイメージが覆されました。

 

工部大学校入学時には成績は最下位、

ガムシャラで、

目的のためなら強引にでも我を通し、

癇癪も起こすし破天荒。

 

けど、なぜか憎めなくて、

人間らしくて、

放っておけないタイプ

のように感じました。

 

明治初期の日本政府は

それ以前から財政難が続いていて、

イギリスに借金をしていました。

 

イギリスは日本の近代産業の

あらゆる分野へ

イギリス資本を導入するよう促し、

日本中がイギリスの利権まみれに

なるような状況を作ろうとしますが、

日本政府はそれを吞まざるを得ない時代でした。

 

イギリスのお金が、

お雇い外国人のイギリス人に支払われ、

イギリス資財の輸入に使われ、

日本には借金だけが残る状況。

 

明治維新第一世代の金吾が

イギリス人の恩師・コンドルを

蹴落としてでも、

日本人による国家的建築の機会を勝ち取り、

日本人建築家の育成に尽力したのは、

いつも「国家」という視点で

考えていたからではないか。

 

辰野金吾という建築家を通して

「江戸のおわり」と

東京のはじまり」が見えてきます。

 

以前にご紹介した

家康、江戸を建てる』門井慶喜

に引き続き、

東京(江戸)への興味が増す作品でした。

 

 

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